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コンデンサーマイク

  • 執筆者の写真: KAKKA
    KAKKA
  • 2024年9月23日
  • 読了時間: 6分

歌録りが中心だが、過去からコンデンサーマイクをそれなりに使ってきた。プロスタジオではないので低価格なものが中心になる。

そもそも低価格なコンデンサーマイクが世に出回ってきたのは1990年代、日本ではサウンドハウスが取扱っているオーストラリアのRODE社がNT1というモデルを発売した時期だと記憶している。このNT1は当時の円高もあり1万円そこそこでノイマンのようなサウンドが得られると言われていたのもあり爆発的に売れた。90年代はアナログからデジタルへ移行する時期でもあり、ホームレコーディング(今で言うDTM)の黎明期でもあった。

日本でもこの時期にRolandがサウンドキャンバスシリーズの販売を開始している。当時MIDIでカラオケデータを作ってカラオケボックスにサウンドキャンバスのエンジンを設置して通信カラオケを作るようなプロジェクトに一時関わっていたのが懐かしい。

RODE前はコンデンサーマイクは高値で(電池式のエレクトレットは安値なものもあった)ソニーのC-38(漫才マイク)で7~8万が安値だった。僕自身はRODEではな在阪企業が輸入していたSEIDO(ザイド)の1万円くらいのものとベリンガーを使っていた。

その時期から途中20年以上音楽から離れていて、再開したとき購入したのがオーテクのAT4040というホームスタジオの人気モデルだった。いきなりノイマンなど考えもしなかったので、3万円程度のマイクを複数持っていた。AKG C-214、Blue Baby Boottleだったか。

AKG C-214はネット評価でCDの音がするというレビュー、Baby Boottleはかっこよかった。ただそれだけの理由だった。

当時はそれで満足していたのだが事態は急変する。それは思い付きで買ったNeumann TLM103を手にした時だった。ちょうどその前にインターフェイスを不安定だったForcusrite(今のモデルは安定している)からRMEに変えて、その後マイクプリも思い切ってRupertNeveDesignsのPortico5017にしたのもあり、マイクに対してもさらに上位機種を試したかったのもあった。これまで買ったマイクには当たり前のようについていたサスペンションが付いてなくて結構高かったのは驚いた。

このセットで明らかに違う世界になった。中低域の音の出方が全く違っていた。TLM103はノイマンでは下位から2番目のモデルだが、今でももし自宅で1本だけ安心して使えるマイクが欲しいと言われたら、このマイクをおすすめする。ちなみにこのマイクはメルカリやヤフオクでは偽物が多いのでやめた方がいいのと、それでも少しの価格差だから一度新品を買って評価しておいた方が良いと思う。

その後使ったマイクはそこそこのばかりになる。以下評価を書く。


①Peluso P87

・ノイマン87のクローン。ジョンペルーソ氏が立ち上げたブランド。

・実際の87は一度だけ使ったことがあるが、このモデルはハイを抑えたかなりおとなし目の音に感じた。

・指向性はカーディオイド、オムニ、双指向に切り替え可能。(TLM103はカーディオイドのみ)

・トランスが入っているモデルだがそんなに色付けは感じない。個人的にはこれを買うならTLM103の方がよかった。


②Roswell Colares

・アメリカのガレージメーカーであるロズウェル社のフラッグシップマイクになる。

・オレンジのデザインが目を引くが、あの有名なTelefunken ELA m251(椎名林檎が使っているらしい)にインスピレーションを受けて製造したマイク。ただしチューブではなくFETタイプ。

・中低域もちゃんと出て高域が少しディストーションがかかったようなクセが出るマイクで、いわれてみればチューブ的なマイクだった。ただボーカリストを選ぶようで人によっては嫌な高域に感じるので人を選ぶマイク。


③chandler limited tg microphone

・アビーロードスタジオ監修というブランド由来に惹かれて手に入れた。まあ中古で安かったのもあるが。付属のサスペンションはフェルト部分がダメになるので使っていなかった。

・ちょっと面倒なのがファンタムではなく専用電源で専用4pinケーブルで接続する。この専用電源が中途半端なサイズで使いずらかった。

・テープEQで音を変えられるが、正直歌録りでそんなに変えたりしなくて、ほとんど2パターンの固定位置だった。

・このマイクは正直良いマイク。ハイは抑え気味でシャリ感など無いが、歌の必要な帯域をちゃんと拾う。ボーカルマイクとしては汎用性があるマイクだった。


④MXL Genesiss HE

・サウンドハウスが取り扱っているアメリカブランドで中国製造。

・Genesissはこの会社でもフラッグシップレベルのチューブマイク。まあこれも中古でかなり安かったので試しに手に入れたもの。

・このマイクは侮れない。音は価格を考えればかなり良い。チ

ューブの質感も明確にあって、ふくよかな音が録れる。女性ボーカルにはフィットしやすいかと思う。現在の販売価格は65000円と高くなったが(ちなみに僕の買った中古は2.8万円w)、チューブが欲しい人にはお勧めできる。ただし下位のV69も良いみたいなので、そこまでこだわりがないならそれでもいいかもしれない。チューブ入門としては良いマイク。


⑤UA Sphere DLX(Townsend L22)

・UA傘下に入ったTownsendが誇るモデリングマイク。現在のUA名義も内容的には同じ。

・専用プラグインでかなりの数のモデリングが可能でモデリングの精度も高い。ただし使用には2chのプリが必要なのと専用のケーブルなので少し面倒ではある。またモデリングした音を聴きながら録る場合は、UA ApllloのUNISONが必須なのでそれもちょっと面倒。

・マイク自体の解像度も高く、正直そこそこ気に入っていたが唯一自分が気に入らなかったのはプラグインの補正が前提のためか、音が硬めで、歯擦音が際立ったこと。特に歯擦音が強めのシンガーの対応には扱いずらかった。

・モデリング品質が高いからこそ、そこまで大きく音が変わるわけではない。よく確認するとなるほどとわかるレベルなのである。結局プラグインでマイクモデルを変更したりしても、最終的にはそんなに変えずいつも同じパターンに落ち着くことが多かった。ただし10万円前後で中古品などが出回っているので、その価格帯ならアリかと思う。


⑥Neumann TLM 49

・トランスレスでYOASOBIが使ったということで人気が出たモデル。103より上位になるが傾向は全く違っている。スペック的にも2k以上で少し持ち上がっているようなのもあって音抜けが良く。かなり硬めに感じる。

・反面ちゃんと中低域も捉えているため、シンガーによってはそのままで使える音。シンガー側としては、自身のモニター音が良く聞こえるので歌いやすいマイクでもある。また抜けが良く、収音性も高いため、リップノイズや生活ノイズも広いやすいので少し注意が必要。

・ローカットもなく、PADもなく、カーディオイドのみと完全に割り切った設計。

・TLM103と価格差もあるので、ホームレコーディングなら103で良いと思うが、どうしてもなら否定はしない。あとマイク自体が重いので、スタンドは丈夫なものにする必要もある。


他にもあった気がするが総じて低価格なものは、いかにもコンデンサーマイクは良い音ですよを促すためか印象の強い「ハイ」がきつめなものが多い。きちんとミッドローを拾うマイクはなかなか少ないとは感じている。なので15万円前後ていどのホームスタジオの高級マイクならノイマンTLM103が無難なのかもしれない。あと世間の情報ではオーストリアンオーディオが気になるが、手にしたことが無いため評価できない。







 
 
 

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